街の底
先々週の土曜日の夜。
好きな先輩を誘って久々に軽く飲みにでも行こうとしたら他の仲間たちと飲んでおられた。
そこにいる人たちは全員好きなんだけどどういうわけかそこに行くのは気が引けた。
結局行かなかった。
その日の日中は土曜出勤だった。一人で現場の管理で、黙々とパソコンに向かってやる仕事がかなり捗った。
いつもはラジオが主任のパソコンから流れてたんだけれどその日は僕しかいないから、どうせならと音楽を流そうとした。
パソコンは重いから携帯から流してた。
こういうときに知っている曲を流すのは仕事に支障をきたすのは知っていた。
だからブラッドサースティーブッチャーズをかけた。あまり、知らなかったからだ。
その日の夜、先輩と遊べないことを自ら深く悲しんで、ハマった料理も何もしたくないままセブンイレブンへ行った。
大好きな二郎系のラーメンと旨辛チキンと500mlのビール買って、またブッチャーズを聞いた。
家に帰ってテレビでYouTubeを流す。
ブッチャーズのフジロックでの7月という曲を演奏していたライブを見た。
そのままザミュージックの最後のフジロックを、電気グルーヴのレッチリを食ったとか噂されてるフジロックの虹の映像を、椎名林檎のカリソメ乙女のフジロックの映像を、とにかくフジロックの映像を独りで見た。
上裸で、ビールを飲んで次の日臭うこと請け合いのラーメン(旨辛チキンは帰り道に食べ切ってしまった)を連れて見た。
とにかく刺激的な夜だった。
今年のフジロックのない並行世界にいることを実感した。
あのホワイトの雨空が好きだし、あのヘブンの遠いなぁって愛おしくなって、グリーンの後ろの方で椅子に座って寝る幸せのない並行世界にいることを実感した。
けど不思議と絶望はしなかった。
イースタンユースが朝一のグリーンステージで街の底をくっそうるせえギターサウンドで演奏していた景色と、タバコ(キャメルメンソール)とラーメンとビールと孤独がどこか元の世界と今いる世界とがリンクした夜だった。
並行世界史上最高の夜だった。